Nature ハイライト

Cover Story:探し出して破壊する:CRISPR/Cas9ゲノム編集技術でPAM配列はCas9エンドヌクレアーゼを誘導し、活性化する

Nature 507, 7490

CRISPR/Cas9を用いるDNA標的化は登場してすぐに、合成生物学やゲノム工学の分野で主要な技術となった。CRISPR/Cas9システムは、RNA分子に誘導されてDNA配列を標的とする細菌エンドヌクレアーゼCas9を用いており、ガイドRNA塩基配列にマッチするものならば、実際上どんなDNA配列であっても結合や切断の標的となる。今回、単一分子実験とバルクの生化学的実験を用いて、RNAに誘導されるCas9が、数十億塩基対の長さになることがあるDNAゲノム内にある独特な20塩基対の配列を見つけ出す機構が明らかにされた。この結果は、3個のヌクレオチドからなるPAM(protospacer adjacent motif、表紙イラスト中では黄色で示す)が、Cas9–RNA複合体を標的候補のDNA部位に誘導する際や、Cas9ヌクレアーゼ(茶色の輪郭線で囲まれている)が触媒活性を持つようになる際に担う役割を明確に示している。標的DNA配列は「ジッパーを上げる」ような機構によって認識され、そこではRNA–DNA塩基対(赤で示す)の連続的な形成が、DNA二重らせん(紫および青)の巻き戻しに必要なエネルギーを埋め合わせている。この研究は遺伝子操作技術に関連しているだけでなく、Cas9–RNAが細菌の適応免疫のエフェクターとして働いてDNAを点検する仕組みも明らかにしている。

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