Nature ハイライト

材料:人工的に作られた昆虫の「スーパーゴム」

Nature 437, 7061

ノミが跳ねたりセミが鳴いたりできるのはレシリンと呼ばれる弾性タンパク質のおかげだが、このタンパク質をベースにしたポリマーが実験室で作られた。このポリマーは、ゴムのような極めて高い弾力性と復元力を備えている。  レシリンは多くの昆虫に見られる。C Elvinたちは、レシリンの弾性を持つ部分を作り出す役割を担うと考えられる遺伝子をショウジョウバエから取り出して大腸菌に組み込むことにより、新しい材料を作った。昆虫の遺伝子をもつ大腸菌の培養によって大量の弾性ペプチドが作られ、これを抽出してから光処理を加えて最終的な弾性材料ができあがった。  合成レシリンは、元の長さの3倍以上に引き伸ばしても切れることがない。Elvinたちは、この材料は、動脈のエラスチンなど、人体中の類似物質の代替品として使えるだろうと考えている。

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