Nature ハイライト

医学:二日酔い遺伝子がアルコール耐性の形成を助ける

Nature 436, 7052

ショウジョウバエのアルコール耐性形成を助ける新しい遺伝子が発見された。この遺伝子はhangover、つまり「二日酔い」という何ともふさわしい名前をつけられており、薬物投与量を増やしていってもショウジョウバエがそれに耐えられるように働く遺伝子経路で機能している。このしくみは、薬物依存と嗜癖に結びつくと考えられている。  hangover遺伝子をもたないショウジョウバエは、エタノール蒸気への曝露を増やしていっても耐性ができないとU Heberleinたちは報告している。またこのショウジョウバエは温度上昇などのストレスに対する応答も損なわれているので、この遺伝子はストレスのかかる状況への対処にもっと幅広くかかわっているようだ。  ヒトでも同じような経路が働いているのだろうとHeberleinたちは述べており、多量のアルコール摂取といった生物学的ストレスに対する体の応答にかかわる経路が嗜癖の引き金になっているのかもしれないと考えている。ショウジョウバエがアルコール耐性についてヒトと同じような性質を持つことが明らかになったわけで、今後のアルコール依存症研究に便利に使われるようになるかもしれない。

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