材料科学：羽のように軽く壊れにくいプラスチック電子デバイス

フレキシブル電子デバイスは、高性能ウエアラブル（装着可能な）モバイルデバイスや生物医学用途の基幹技術として台頭しつつある。M Kaltenbrunnerと染谷隆夫（東京大学ほか）たちは今回、望みどおりの形状に適合でき、羽のように軽く存在を感じさせない上に、壊れにくい電子デバイスを作製することによって新天地を開拓した。この電子デバイスは、超軽量プラスチック膜上に厚さわずか数ナノメートルの超高密度酸化物ゲート誘電体を堆積させた有機トランジスターで構成されており、全体としての厚さはわずか2 μmである。その上、厳しい曲げや伸縮の繰り返しに耐え、紙のようにくしゃくしゃに丸めることができ、高温や高湿度環境でも動作する。著者たちは、このフレキシブル電子デバイスがヒト上顎モデルの表面上で触覚センサーとして機能することを実証し、ヘルスケア・モニタリングに応用できる可能性を例示している。

目次へ戻る