現生鳥類の祖先にあたる恐竜の仲間は、新しい研究解析によると、今生きている子孫たちと同じくらい洗練された方法で呼吸をしていたらしい。現生鳥類と同じように、獣脚類恐竜も骨格の中の気嚢へ空気を送り込んでいたことを示すこれまでで最も確実な証拠が見つかったのだ。 鳥類は肺に付随した気嚢という構造をもっており、これで消費エネルギーの多い活動的な生活様式を支えている。こうした構造のおかげで、鳥類の肺は哺乳類のように呼吸気の出入りに頼らず、酸素に富む空気を常に供給することができる。気嚢は骨の中の中空部分に入り込んでいるため、獣脚類恐竜に気嚢があったことを示す証拠はすでに見つかっていた。だが、その気嚢系が、現生鳥類と同じように機能するほど完成度の高いものだったかどうか、これまで確証が得られていなかった。 しかし今回、体長数メートルになった原始的獣脚類マジュンガトルス・アトプス(Majungatholus atopus)の新しい化石から、この恐竜が気嚢による呼吸様式に必要な仕組みをすべて備えていたことがわかった。報告したP O'ConnorとL Claessensによれば、この恐竜の椎骨には現在のオオヅルのものと非常に似通った呼吸機能の適応が見られるため、こうした呼吸器系は鳥類そのものが進化するよりずっと以前に進化していたことになるという。
2005年7月14日号の Nature ハイライト
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