Nature ハイライト

Cover Story:永続性獲得への動き:腸内細菌がファージの遺伝子リザーバー由来の抗生物質耐性を上乗せしていく仕組み

Nature 499, 7457

哺乳類の腸内では、ファージは自然状態で膨大な数の細菌宿主と共存している。抗生物質の投与は、腸の環境に負の影響を及ぼし、免疫や代謝の異常を引き起こすことがある。従来、腸の恒常性の破壊は、主に細菌種のレベルで調べられてきたが、今回J Collinsたちは、比較メタゲノミクスを用いて、マウスで抗生物質を投与した後の腸のファージ個体群のプロファイリングを行った。シプロフロキサシンあるいはアンピシリンへの曝露により、ファージにコードされる抗生物質耐性に関連する遺伝子が増加することが分かった。その上、抗生物質を投与されたマウス由来のファージは、好気培養されたナイーブ微生物叢の抗生物質耐性を上昇させることができる。これらの結果は、抗生物質投与がファージの宿主ゲノムへの組み込み頻度を上昇させ、宿主域の拡大を促すことを示唆しており、つまり抗生物質投与は、遺伝学的に多様で、腸細菌が極めて利用しやすい機能的な遺伝子リザーバーの構築を促進することになる。

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