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Cover Story:キラリティーを映し出す:マイクロ波分光法を使って測定された分子の掌性

Nature 497, 7450

キラリティー(掌性)の最も身近な例である「右手と左手の関係」。
キラリティー(掌性)の最も身近な例である「右手と左手の関係」。 | 拡大する

Credit: iStockphoto/Thinkstock

キラル分子は互いに重ね合わせることができない鏡像関係にあるエナンチオマーとして存在し、キラリティーは化学や生物学の多くの分野で重要な役割を果たしている。キラリティーの検出や定量が難しいことはよく知られているが、これは従来の分光法が、弱い効果を用いて測定するものであるからだ。D Pattersonたちは今回、マイクロ波分光法と電場の切り替えを組み合わせることにより、電気双極子ラビ周波数の符号(分子のキラリティーに直接依存する変数)を、放出されたマイクロ波放射の位相にマッピングできることを示している。この効果を使えば、1,2-プロパンジオールのSおよびRエナンチオマーとそのラセミ混合物の例で示されたように、低温気相分子のキラリティーが決定できる。この方法ではキラリティーの大きく明確な特徴が得られ、感度も高く、化学種選択性があることから、混合物中の複数の化学種のキラリティーを決定するための理想的で類のない手法となる可能性がある。表紙の赤と青の線はS1,2?プロパンジオールとR1,2-プロパンジオールのデジタル化シグナルを基に描かれている

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