Nature ハイライト

遺伝:条虫類4種のゲノム塩基配列の解読

Nature 496, 7443

条虫類(サナダムシ類)が引き起こすエキノコックス症や嚢虫症は、いずれもヒトの寄生虫症として最も重症な部類のものであり、世界保健機関の「顧みられない熱帯病」リストに掲載されている。そのため、今回、ヒト感染性の条虫類である多包条虫(Echinococcus multilocularis)、単包条虫(E. granulosus)、有鉤条虫(Taenia solium)、および実験室モデルとして使われるHymenolepis microstomaの4種のゲノム塩基配列が解読され、条虫類感染症を治療するための新しい薬剤標的候補が突き止められたことは、喜ばしい展開である。これらのゲノム塩基配列の解析により、寄生の進化を解明するための手がかりが得られた。また、他の動物に広く存在する遺伝子および経路が非常に多く失われている一方で、遺伝子が種特異的に拡大していることが明らかになった。多包条虫の1,000種類以上のタンパク質が治療標的候補となることがわかり、そのうち判定スコアが最も高い200種類近くは、既存の薬剤の標的となりそうである。

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