Nature ハイライト

宇宙:近傍銀河での星形成

Nature 495, 7442

ウォルフ・ルントマルク・メロッテ(WLM)銀河などの矮小不規則銀河は、初期銀河に似た例として観測できる、近傍で最良のものである。これらは、ヘリウムより重い元素(天文学では「金属」と呼ばれる)に乏しいこと、それに大きさの両方の点で初期銀河に似ている。初期宇宙での星形成のモデルとしてこれらの銀河を研究しようという企ては、金属量が多い銀河での星形成領域を示す重要なトレーサーである一酸化炭素が見かけ上存在しないことで、進展が妨げられている。一酸化炭素が存在しないことから、星形成に必要な低温ガスの生成に塵ではなく分子が果たすとされる役割について、疑問が生じていた。今回、APEX望遠鏡を使った観測で、WLMにある2つの特定の星形成領域に一酸化炭素が見つかり、これまで観測されたよりも低い金属量でも、高密度の分子ガス中で星形成が持続していることが示唆された。WLMなどの銀河の金属量と高赤方偏移のより大きな銀河の金属量が類似していることから、若い銀河での星形成を通常の方法で研究することは可能だろうと考えられる。

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