Nature ハイライト

細胞:骨髄には複数の幹細胞ニッチが存在する

Nature 495, 7440

ケモカインであるCXCL12は、造血幹細胞(HSC)の機能の維持に重要な役割を担っている。 今回、2つの互いに相補的な研究で、骨髄ニッチ細胞候補でのCxcl12の条件付き欠失の影響が調べられ、異なるcreCxcl12対立遺伝子が用いられているにもかかわらず、同じような結論が得られた。L DingとS Morrisonは、成体マウス骨髄のニッチ構成細胞と考えられるさまざまな細胞でCXCL12発現のマッピングを行い、内皮細胞でのCxcl12欠失はHSCの維持に関わっているが、Lepr-creが標的とする血管周囲ストローマ細胞での欠失は維持に関わっていないことを明らかにしている。これらのニッチは重ならないので、骨髄微小環境内は区画化されていることがわかる。D Linkたちは、ニッチストローマ細胞集団候補でCxcl12を欠失させ、オステリックスを発現しているストローマ細胞でのCXCL12発現はBリンパ球系前駆細胞を支持しており、骨髄で造血前駆細胞を保持しているが、血管周囲領域のストローマ細胞でのCXCL12発現はHSCを支持していることを見いだした。HSCニッチの複雑性についてのこのような知見は、造血系疾患の発症についての研究に関係してくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度