Nature ハイライト

遺伝:多発性硬化症における遺伝的変動

Nature 488, 7412

多発性硬化症患者の脳のFLAIR画像。赤く着色されたのが病変部。
多発性硬化症患者の脳のFLAIR画像。赤く着色されたのが病変部。 | 拡大する

Credit: Aiden Haghikia, Calliope A. Dendrou, Lars Fugger

最近行われた複数の全ゲノム関連研究(GWAS)では、多発性硬化症と、腫瘍壊死因子(TNF)受容体1(TNFR1)をコードする遺伝子TNFRSF1Aの一塩基多型との関連が示唆されている。TNFは以前に自己免疫への関与が示されており、TNFアンタゴニストはいくつかの自己免疫疾患で有効な治療薬となっているが、多発性硬化症には効果がない。また、GWASで得られた証拠では、TNFRSF1Aと多発性硬化症の間には関連がないことが示されている。今回、多様な自己免疫疾患に関するGWASの結果の比較に加えて、機能研究および生物物理学的研究を行って得られた知見から、TNFR1遺伝子座に多発性硬化症に関連する遺伝的リスクがあると、新規な内因性TNFアンタゴニストの産生が引き起こされることが示された。この遺伝的リスクの影響は、まれに多発性硬化症の臨床的発症を誘導することが報告されている抗TNF療法の影響と一致している。

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