Nature ハイライト

Cover Story:根に棲むものたち:植物の根のマイクロバイオームに含まれる細菌群集の構造は、土壌の種類と宿主の遺伝子に左右される

Nature 488, 7409

陸生植物と、その根のマイクロバイオームに含まれる土壌微生物との関係は、植物の健全な生育に重要である。このような微生物群集の理解が進めば、植物の生長や病原体感受性の制御に、特に持続可能な農業管理の面で役立つだろう。2つの研究グループが別々に研究を行い、共に非常に効率のよいプロトコルを開発して、モデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の根の微生物相の特徴を明らかにした。研究は2つの大陸で5種類の異なった土壌について行われたが、両研究グループはよく似た一般的な結論に達している。根の2つの区画(根のすぐ近くを取り巻く根圏と、根の内側の内生区画)に生育する細菌群集は、まず土壌の種類に最も強く影響され、それに次ぐ強さで宿主植物の遺伝子型の影響も受ける。天然の土壌で生育するシロイヌナズナには、アクチノバクテリア類、プロテオバクテリア類、バクテロイデス類、クロロフレクサス類が選択的に定着している。また、管理環境条件下で育てたシロイヌナズナの根の土壌細菌選択性は、天然環境中で育った植物のそれを模倣していることがわかったことは、今後の研究にとって重要である。(Letters pp.86, 91)

目次へ戻る

プライバシーマーク制度