Nature ハイライト

医学:急性小児白血病の遺伝学

Nature 481, 7380

初期前駆T細胞(ETP)型の小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、標準的な化学療法を用いる治療では予後不良である。今回、全ゲノム塩基配列解読法を使って、この病気の遺伝的基盤を解明する手がかりが得られた。解読の結果、サイトカイン受容体およびRasシグナル伝達を調節する遺伝子の活性化変異、造血を損なう変異(その多くは、新規のキメラ型インフレーム融合遺伝子を生み出す染色体再編成から生じる)、およびヒストン修飾にかかわる遺伝子の不活性化変異の頻度が高いことが明らかになった。こうした変異パターンは骨髄悪性腫瘍のそれと似ており、このことから、高用量のシタラビンなどを使う骨髄性白血病向けの治療法が、サイトカイン受容体やJAKシグナル伝達を阻害する標的療法として、ETP ALLに有効となるだろうと考えられる。

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