Nature ハイライト

生化学:「ディールス・アルダラーゼ」酵素の同定

Nature 473, 7345

天然化合物スピノシンAは、環境にやさしい市販の殺虫剤の成分となっている。スピノシンAの四環系が生合成される仕組みについては、さまざまな推測がされている。考えられる機構の1つがディールス–アルダー反応である。これは、共役ジエンと電子不足型のアルケンの間で、単一のペリ環状反応遷移状態を経てシクロヘキセン環が形成される環化付加反応である。この反応は天然では非常に珍しいが、今回、土壌細菌のSaccharopolyspora spinosa由来のSpnFの構造研究と反応速度論的研究によって、このSpnFがおそらく、「ディールス・アルダラーゼ」の名前にふさわしい初のスタンドアローン型酵素、つまり独立で働くタイプの酵素であることが明らかになった。SpnFは[4+2]環化付加反応の触媒だけを行っており、反応速度を500倍程度促進していると考えられる。

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