Nature ハイライト

進化:形態を変えていくトカゲたち

Nature 465, 7298

自然選択を実験的に検証した事例は少ないが、それは、選択の対象に関する予測ができるほど十分に解明されている系がほとんどないためである。しかし、カリブ海にある西インド諸島のアノールトカゲ類は例外だ。数十年に及ぶ研究により、これらのトカゲでは、選択の対象(体サイズ、肢の長さ)と作用因子(競争、捕食)に関して正確に予測されている。今回R CalsbeekとR Coxは、6つの小島でアノールトカゲの大規模な個体数操作を行い、捕食者である鳥やヘビの有無を島によって変えて、自然選択を検証した。捕食者の存在はトカゲの行動に影響を及ぼしたが、個体群密度の増大は大きな体サイズ、長い肢、持久力の増加に対して有利に働いた。これらのトカゲの進化がどう進むかには、捕食よりも種内競争のほうが重要なようだ。

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