Nature ハイライト

医学:RNA干渉で遺伝子機能の解明が進む

Nature 428, 6981

2つの新しい武器によって、哺乳類の遺伝子の機能解明が加速し始めている。今週号に発表されたこれら2つの手法は、いずれもRNA干渉(RNAi)すなわち短いRNA配列が持つ遺伝子のスイッチを選択的に切る能力に注目したものだ。 2つの研究グループが、ヒト遺伝子の約3分の1を標的とするこのようなRNA断片のライブラリーを作成した。この短い干渉性RNAは、胚性幹細胞を含めたさまざまな哺乳類細胞に導入が可能で、そこで重要な遺伝子の機能をオフにする。今回標的として選ばれた遺伝子はヒトの病気にかかわりをもつと思われるもので、病気に重要な役割を持つ遺伝子群の機能特定に、このライブラリーが役立つことが期待される。 R Bernardsを中心とするグループは約8,000個のヒト遺伝子を調べ、細胞分裂の停止にかかわる遺伝子を発見した。G J Hannonのグループが作成した2つのライブラリーはそれぞれ、約10,000個のヒト遺伝子、および約5,000個のマウス遺伝子を標的とするものである。「簡単に伝達されうるshRNA(短いヘアピン型RNA)を集めたこのライブラリーは巧みに設計されているので、さまざまなタイプの細胞で驚くほど幅広い解析が可能になるだろう」とA FraserがNews and Views で述べている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度