Nature ハイライト

Cover Story:グルタミン酸受容体:ニューロン間の連絡にかかわるイオンチャネルの構造

Nature 462, 7274

中枢神経系での興奮性神経伝達はニューロンどうしが「話す」ことを可能にする事象だが、そのほとんどは、グルタミン酸の結合により膜貫通イオンチャネルが開くことで作動する、イオンチャネル型グルタミン酸受容体により仲介されている。この受容体の全体構造に関してはほとんどわかっていなかったが、今回E Gouauxたちが、競合的アンタゴニストと結合したラットの四量体AMPA型GluA2受容体サブタイプのX線結晶構造を報告している。この構造によって、新規な対称性を示す配置が明らかになった。こうした配置をとるには、4つのサブユニットのうちの2つが、ほかの2つと異なる形をとらなくてはならない。これは、グルタミン酸の結合とそれに続いて起こるチャネル開口が、すべてのサブユニットに同じ結果をもたらさないことを意味している。結晶構造学的データと部位特異的変異導入実験のデータから得られた構造から、カイニン酸型やNMDA型などのほかのグルタミン酸受容体分子の全体構造や対称性も、これと類似しているだろうと考えられる。イオンチャネルの活性化、脱感作、非競合的アンタゴニストやチャネル遮断薬による阻害の機序も、この構造から推測可能である(Article p.745, N&V p.729)。

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