同じ種類の鳥が群れて飛ぶことは、Birds of a feather flock together(類は友をよぶ)ということわざがあるくらい、よく知られている。しかし、大きな群れを成す動物が、どのようにして協調的な行動をとるのかは、完全に説明されていない。リーダーに従っているのか、それとも単純な行動規則の組み合わせであのようなパターンが生じるのだろうか。現在まで、この問題はおおむね、数値モデリングによって取り組まれてきたが、重量がほんの16グラムという小型GPS計測記録装置を背負わせる手法が実用化されたことにより、群れの各個体の追跡が可能となり、直接得られた観測値を用いてモデルを検証できるようになった。最大10羽からなる伝書バトの群れで行った実験により、ある個体の飛行時の位置は詳細に決められた社会的地位により決まることがわかった。これは飛行中の「つつきの順位」である。興味深いことに、各個体は主に左目に映った群れメンバーに、よりすばやく反応する。これは、各個体が、群れ内の位置に応じた特定の役割をもっていることを、さらに裏付けるものだ。表紙は、実際に観察された各個体の飛行軌跡を社会的順位に沿って色分けしたものである。カラースペクトルが最も濃い赤色に近いのが階層の最上位にある個体であり、紫色に近いのは最劣位の個体である(Letter p.890)。
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