Nature ハイライト

物理:アト秒の世界を見る

Nature 460, 7258

強いレーザー場中で起こる電子とその親分子イオンとの再結合によって生じる高次高調波放射光からは、再結合が起こっている系の構造と動力学のスナップショットが得られる。今回CO2分子を使った実験で、高次高調波干渉法により高調波放射の位相と振幅を測定することで、こうした構造情報や動的な情報を取り出せることが示された。その結果得られた、この過程にかかわる複数の分子軌道の「指紋」を使って、イオン化時の電子再配置の動力学など、その基盤となっているアト秒の多電子動力学を解明できる。この系から放射される光には、移動する電子の画像が含まれ、これを加工して動画にすることができる。高次高調波干渉法が、再結合電子のド・ブロイ波長に起因するオングストローム以下の空間分解能と、再結合現象の時間スケールに起因するアト秒の時間分解能で、多電子動力学を解像する有効な方法であることが、この発見によって確かめられた。

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