Nature ハイライト

Cover Story:戦争の生態学:暴動やテロにみられる統計学的パターン

Nature 462, 7275

一見ランダムあるいはカオス的にみえる人間活動の多くは、普遍的な統計学的パターンを示す。人間の間の紛争もその1つであり、戦争全体で総計した死傷者数のサイズ分布はほぼ、べき乗分布に従う。しかし、個々の戦争で起こるさまざまな事態についても共通のパターンがみられるのだろうか。N Johnsonたちは、そうであることを明らかにした。アフガニスタン、イラク、コロンビアで起こったさまざまな紛争に関する詳細なデータセットを使って、反乱戦には互いに共通するパターンがあること、さらにそれは世界的テロ行為にも共通することを示し、破壊・暴力活動の規模や、それらが生じるタイミングを人間集団間の生態学的相互作用の観点から説明している。彼らのモデルは暴動に関する最近の仮説と整合しており、反乱での武力衝突やテロ行為と生態学の間の量的な関係を確立するものだ。また、このモデルと金融市場モデルとの類似性は、人間の暴力的行動と非暴力的行動との間の関連を示している。表紙は、2006年11月にアフガニスタンのカブール南方に位置するガズニ州で撮影された、タリバン反乱軍の兵士たち(Letter p.911, News p.836, www.nature.com/podcast)。

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