Nature ハイライト

Cover Story:がん研究の将来:腫瘍生物学、ゲノミクス、治療法の進歩

Nature 458, 7239

今週号は、がん研究の最近の進歩についての総説や多数の研究論文をまとめて掲載している。Review Article(p.719)では、1980年代からのがんの遺伝学的研究の業績を振り返り、がんのゲノミクスによってこれから達成されるだろう成果を予想している。抗血管形成薬には非常な期待がかけられたが、実情は期待とはかなりかけ離れたものとなっている(News p.686)。Articlesでは、食餌療法とがんの関係に関する新しい研究(p.725)や、ユビキチン系で見つかった新規薬剤標的(p.732)が報告されている。Gaoたちは、ヒトの多くのがんで変異が起こっているがん遺伝子Mycが、グルタミナーゼの発現に重要なマイクロRNAを調節していることを明らかにして、がんと代謝の結びつきを立証した(Letter p.762)。ヘッジホッグシグナル伝達は多くのがんに関係すると考えられているが、今回Zhaoたちは、慢性骨髄性白血病の白血病幹細胞が、このヘッジホッグシグナル伝達によって維持されていることを明らかにしている(Letter p.776)。Diehnたちは、ヒトとマウスの乳がんのがん幹細胞を調べ、乳がんの放射線療法に対する感受性を制限している要因の1つと思われる「反応性の高い酸素」の含有量が比較的低いことを見いだした(Letter p.780)。表紙は、乳がん細胞の走査電子顕微鏡写真を着色処理したものである。

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