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海洋:脂質の不足に代用品で対処

Nature 458, 7234

プランクトンは、増殖したり、細胞を構成する脂質などの分子を作り出したりするための栄養素として、リンを必要とする。海洋にはリンが極端に乏しい海域があるが、光合成をする種類の植物プランクトンはこの状況に対処できるようだ。その理由が今回明らかになった。これらは、リンを含まない脂質分子を生産するのである。植物プランクトンが、リンの不足に対応して、細胞のリン含有量を減らすことは知られていた。今回、サルガッソー海で採取した含有リン量の少ない海水試料を用いた実験で、植物プランクトンが膜のリン脂質を硫黄と窒素を含む脂質で代用しており、従属栄養型の細菌では、そうした代用が行われていないことが明らかになった。これらの代用脂質を使う能力は、リンの乏しい環境での競争に有利に働いているのかもしれない。

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