Nature ハイライト 宇宙:どこもかしこもメーザー、メーザー 2008年12月18日 Nature 456, 7224 宇宙物理学でいうメーザーは、マイクロ波領域で生じる誘導放射のスペクトル線源で、可視光のレーザーに似たものだ。水メーザーは、水分子が22 GHz領域で発する放射で、活動銀河中心の超大質量ブラックホールに関係した高密度分子雲で見つかる。近傍の観測例から導き出された水メーザーの光度関数に基づき、中程度や高い赤方偏移ではメーザーはごく稀だろうと思われていたのだが、この仮定は確かなものではなさそうだ。重力レンズ効果による増光を利用して、赤方偏移2.64でクエーサーに水メーザーが見つかったのである。その光度は、近傍の最も強力な水レーザーの2倍で、知られている最も明るいメーザーの半分である。今回の発見は、こうしたメーザーは初期宇宙では、現在よりもずっと多く存在していたことを示唆している。 2008年12月18日号の Nature ハイライト 宇宙:どこもかしこもメーザー、メーザー 化学:新しいキラル触媒 地球:海底地形の起伏を調べる 進化:LUCAの好みは変わりやすい 生態:温暖化が侵入植物種を生み出す 進化:元気なY染色体 細胞:神経冠細胞の「接近遭遇」 医学:RNAiは心疾患の疾患標的 生理:概日リズムでスリムになる 目次へ戻る