Nature ハイライト

医学:インスリン抵抗性とO-GlcNAcの役割

Nature 451, 7181

核および細胞質のタンパク質のO結合型β-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)による修飾は、多くの細胞過程で重要な調節因子として働いていることが明らかになりつつある。予測されている役割の1つが栄養センサーとしての働きで、これはヘキソサミン生合成経路を介するグルコース取り込みに関連している。今回、グルコース取り込みに対する応答におけるO-GlcNAcの役割が調べられ、O-GlcNAcトランスフェラーゼ(OGT)上に新しいタイプの脂質結合部位があることがわかった。インスリン刺激により、脂質であるホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸がOGTに結合し、これを細胞質膜に移動させる。次いで、OGTはインスリンシグナル伝達経路のタンパク質の糖修飾を行ってその活性を妨げ、インスリン応答を低下させる。マウス肝臓でOGTを過剰発現させると、インスリン抵抗性と脂質異常症が生じる。このように、インスリンシグナル伝達のO-GlcNAcによる異常な修飾は、インスリン抵抗性、肥満および2型糖尿病の一因となる可能性がある。

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