Nature ハイライト

考古:海辺の生活の始まり

Nature 449, 7164

ヒト(Homo sapiens)がこの世に出現して初めて行ったのは、海辺に向かうことであったと言われている。このことのめざましい証拠が、南アフリカのピナクルポイント付近にある海食洞の中期更新世堆積物で見つかった一連の発見から得られた。この発見物は、約16万4千年前頃には、そこの居住者たちが貝類も食料にしていたことを物語っており、沿岸資源が利用されていたことを示す最古の証拠としては、これまでより約4万年古くなる。また、彼らが象徴行動用に赤色オーカーなどの顔料を用いていた証拠も得られた。この時期の地球は低温乾燥期で、アフリカの大部分は不毛の地であった。おそらくこの環境ストレスが、狩猟採集民の小集団を新たな食料資源と生活様式を求めて海辺に移動させたのだろう。

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