Nature ハイライト

Cover Story:飛翔への道筋:良好に保存された始祖鳥化石が鳥類進化の詳細を明らかにする

Nature 641, 8065

紫外光に照らされた始祖鳥(<i>Archaeopteryx</i>)の化石標本。
紫外光に照らされた始祖鳥(Archaeopteryx)の化石標本。 | 拡大する

Photo by Delaney Drummond, (c) Field Museum

表紙は、約1億5000万年前に生息していた、既知最古の化石鳥類である始祖鳥(Archaeopteryx)の想像図である。今週号ではJ O’Connorたちが、米国シカゴのフィールド自然史博物館が取得したことから「シカゴ始祖鳥」とも呼ばれている、始祖鳥の既知14例目の標本について報告している。この標本は保存状態が極めて良好で、ほぼ完全で押しつぶされておらず、細部までが見事に保持されていることから重要である。研究チームは、この事実と、マイクロコンピューター断層撮影(マイクロCT)を用いた念入りな処理によって、この象徴的な生物の骨格、軟部組織、羽衣に関する新たな情報を明らかにすることができた。彼らは、両翼の内側にある三列風切羽と呼ばれる特殊な次列風切羽や、地上での動きに適応したことを示唆する趾蹠などの特徴を発見した。これらの新たに見いだされた一連の特徴から、始祖鳥はある程度の飛翔に適応しつつ、地上でも樹上でも快適に生活していた可能性が示唆された。

2025年5月29日号の Nature ハイライト

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