Nature ハイライト

Cover Story:菌類が生み出す波:菌根菌が地下の栄養素交換のためのサプライチェーンネットワークを構築する仕組み

Nature 639, 8053

菌根菌は、土壌中に広大なネットワークを構築して植物の根と栄養素を交換している。こうした密なネットワークの多くは、菌糸と呼ばれる非常に細い管で構成されており、その長さは土壌1 cm3当たり100 mに達することもある。今週号では、L Oyarte GálvezとC Bisotたちが、こうした複雑なネットワークが作られる仕組みを明らかにしている。研究者たちは、50万以上の成長中の菌類ノードを同時に追跡するために、特注の画像化ロボットを作製して、菌糸内の細胞質の流れの軌跡を約10万回測定した。その結果、菌類はこれらのネットワークを自己調節する進行波として構築し、その中で、より速く成長する先端部のパルスが、後方にあるより遅く成長する菌糸体から広がる波を引き寄せて、栄養素の抽出がギリギリできる程度に両者間の空間を満たすことが分かった。栄養素が枯渇すると、菌類は生殖胞子の成長促進へと移行する。表紙の画像は、この波のような拡大過程を示しており、色はネットワークの端の年齢(明るい色ほど若い)を表している。

2025年3月6日号の Nature ハイライト

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