Nature ハイライト

Cover Story:巨大な絶滅類人猿:史上最大の霊長類が絶滅した原因は何か

Nature 625, 7995

ギガントピテクス・ブラッキー(Gigantopithecus blacki)は、身長が約3 m、体重が200~300 kgで、史上最大の霊長類だったと考えられている。表紙の復元図に描かれたこの大型霊長類は、200万~30万年前の中国に生息していたが、絶滅した理由はいまだに謎のままである。今回Y ZhangとK Westawayたちは、この霊長類の絶滅の時系列と原因に光を当てている。彼らは、中国南部の22カ所の洞窟から化石を収集して年代を測定し、花粉分析の結果と照らし合わせた。その結果、230万年前の環境は林冠の閉じた密林と草原によって構成され、ギガントピテクスに理想的なものとなっていたが、29万5000〜21万5000年前には疎林化が進み、森林の植物群落が変化したことが見いだされた。これはギガントピテクスの食物の多様性の低下につながり、化石にはこの時期にストレスが強まり個体数が減少した兆候が認められた。著者たちは、結局ギガントピテクスは、変化する環境に適応できなかったと示唆している。

2024年1月18日号の Nature ハイライト

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