Nature ハイライト

Cover Story:アリの「乳」:動けない蛹が栄養のある液体を分泌してコロニーの生存を助ける

Nature 612, 7940

クビレハリアリ(<i>Ooceraea biroi</i>)の成虫は、若齢の幼虫を蛹の上に乗せて、幼虫が蛹の分泌液を摂食できるようにする。
クビレハリアリ(Ooceraea biroi)の成虫は、若齢の幼虫を蛹の上に乗せて、幼虫が蛹の分泌液を摂食できるようにする。 | 拡大する

Daniel Kronauer

表紙は、蛹と小さな幼虫の世話をしているクビレハリアリ(Ooceraea biroi)である。アリは社会性昆虫で、そのコロニーは、洗練されたコミュニケーション、行動、協働を伴う複雑な生物系である。今回D Kronauerたちは、この昆虫の生活環における動けない蛹の段階に関わる、これまで知られていなかった社会的行動を明らかにしている。彼らは、羽化する直前の蛹が、哺乳類の乳に似た栄養豊富な脱皮液を分泌することを見いだした。この液体は、成虫と、成虫が蛹の上に置いた若い幼虫によってすぐに摂食される。著者たちは、この液体を摂取できない幼虫は成長障害を示し、生存率が低くなると指摘している。同様に、分泌物が蛹から除去されないと、蛹は真菌感染症を発症して死ぬ。著者たちはさらに、この液体にはホルモンや精神活性物質が含まれており、コロニー全体の生理や行動に影響を及ぼしている可能性があることも見いだしている。

2022年12月15日号の Nature ハイライト

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