Nature ハイライト

物理:アインシュタインのE = mc2 を検証する

Nature 438, 7071

おそらく、科学の全分野にわたって最もよく知られている公式は、質量とエネルギーの互換性を表すアインシュタインの有名なE = mc2だろう。もしこれがほんのわずかでも不正確なら、現代物理学に多大な影響が及ぶと考えられる。でも心配ご無用。この公式に対する新しい直接的な検証が行われ、E = mc2は0.00004%以内の誤差で正しいことが報告された。  この公式は、非常に小さな質量が非常に大きなエネルギーと等価であると予測している。それはc2cは光速度)が極めて大きな値だからだ。このことを検証するために、S Rainvilleたちは、2種の異なる同位体が中性子を捕獲するときに生じる質量変化(加わった中性子自身の質量分は含まない)を綿密に測定した。この変化量は、イオンが下方遷移するときに放出されるガンマ線のエネルギーに等しいはずである。  彼らは、高精度の結晶回折装置を用いてガンマ線のエネルギーを測定し、ペニングトラップと呼ばれる電場と磁場を組み合わせた特殊なトラップ装置でイオンの質量変化を測定することにより、測定の不確実さを低減させた。今回の結果は以前の検証より55倍も正確で、世界物理年のフィナーレを飾る成果といえる。

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