Nature ハイライト

原子物理学:反水素の量子電磁力学

Nature 578, 7795

反物質の高精度の測定によって、物質と反物質の間に存在する可能性のある物理的性質の違いが調べられる。それらの基本的な振る舞いの違いは、反物質よりも物質が支配的である宇宙の形成を理解するのに役立つ可能性がある。今回、ALPHAコラボレーションは、反陽子と陽電子(反電子)でできた原子である反水素の物理的性質を、これまでにない深いレベルで調べている。分光測定によって、捕捉された反水素の原子準位に対する補正が見積もられ、相対論的効果(微細構造)と量子電磁力学(ラムシフト)が説明された。これらの効果が通常の物質で説明されたのは、1900年代後半のことにすぎない。今回の測定結果は、水素での観測結果や理論的な予測結果と一致し、これによって自然の基本対称性の検証が得られる。

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