ナノスケール材料:共有結合性金属としての細幅の炭素ペンタヘプタイトナノリボン
Nature 658, 8138 doi: 10.1038/s41586-026-11202-2
金属性の炭素系ナノリボンは、将来の炭素系の電極や配線への応用可能性を持つ、原子レベルで構造が規定された一次元導電体として、その実現が求められている。理想的には、金属性カーボンナノチューブに匹敵する量子限界コンダクタンスを備えることが望まれる。金属性グラフェンナノリボンは、特にゼロモード超格子を利用したバンドエンジニアリングによって実現されている。しかし、理論的に提案されている金属性炭素であるペンタヘプタイトなど、完全に非ベンゼン系の炭素同素体からなる、原子レベルの精度を持つ金属性ナノリボンはまだ調べられていない。こうしたナノリボンが実現すれば、半導体グラフェンナノリボンやナノグラフェンと適合する全炭素エレクトロニクスのボトムアップ作製が可能になり、それらの魅力的な特性も併せて利用できる可能性がある。今回我々は、事前に合成したポリシクロオクタジエン鎖から変換した、よく整列したポリペンタレン鎖を側方に融合させることで平面状の炭素ペンタヘプタイトナノリボン(CPHN)を表面上で合成する、階層的手法を報告する。異なる2種類の細幅のペンタヘプタイトナノリボンが得られ、これらは中央の7員環の鎖の両側のエッジにポリペンタレン鎖が配置された類似の基本構造を共有するが、CPHN 1ではポリペンタレン鎖の配向が同一であるのに対し、CPHN 2ではその配向が異なる。CPHN 1は本質的に金属である一方、CPHN 2は狭バンドギャップ半導体である。CPHN 1リボンは、1コンダクタンス量子に迫る、バリスティックに近いコンダクタンスを示し、これは金属性カーボンナノチューブのものに匹敵する。この結果は、CPHN 1が有望な平面状炭素系金属であることを浮き彫りにするとともに、炭素量子細線に至る経路の可能性を示唆している。とはいえ、デバイスへの組み込みには、合成法のさらなる最適化が必要となる。

