物性物理学:超伝導体への分子スピン鎖のパリティ依存結合
Nature 658, 8136 doi: 10.1038/s41586-026-11117-y
量子材料における集団的挙動は、その構成要素の量子数の分数に相当する量子数しか持たない励起を生成することがある。顕著な例に、スピン1のユニットからなる鎖があり、この場合、鎖の内部がトポロジカルギャップによって保護される一方、両端には鎖を形成するユニットのスピンの半分に当たるスピン1/2の状態が現れる。短い鎖では、これらの分数化したエッジスピンが互いに結合し、トポロジカル保護を受けることから、スピン–超伝導ハイブリッドデバイスにとって魅力的である。しかし、このような分数化が超伝導凝縮体に近接しても存続するかどうかは、依然として未解決の問題である。今回我々は、近接効果によって超伝導化したAu(111)/Nb(110)表面に、反強磁性的に結合したスピン1のトリアンギュレンユニットからなる分子ハルデン鎖を成長させ、走査型トンネル分光法によって、そのスピン1/2のエッジ状態の超伝導体への結合がパリティに依存することを明らかにした。ユニット数が奇数の鎖では、系全体のS = 1の基底状態に由来するYu–Shiba–Rusinov(YSR)束縛状態が超伝導ギャップ内に存在する一方、ユニット数が偶数の鎖は、超伝導体から切り離されたS = 0の基底状態を形成する。2サイトモデルによれば、この交替現象は両エッジ間の相互作用の符号と強さに起因し、これは、トンネルスペクトルにおけるギャップ外のスピン励起によっても独立に確認された。また、はるかに大きなハルデンギャップによって超伝導体から切り離された、S = 1の鎖の多体スピン励起も検出された。超伝導体へのエッジスピンの結合が鎖の長さによって調整できることは、π共役炭素構成に基づく分子スピンキュービット実現への道を開く。

