Article

進化学:ヒト骨格における遺伝子発現調節の進化

Nature 658, 8136 doi: 10.1038/s41586-026-11053-x

骨格の変化はヒトの進化において中心的な役割を果たし、二足歩行、大きな頭蓋冠、出産への適応を可能にした。その重要性にもかかわらず、ヒトに特有の形態を生み出した遺伝的変化は、依然としてほとんど分かっていない。本研究で我々は、ヒト骨格の進化を形作った遺伝子発現調節の変化を、体系的にマッピングした。我々は、軟骨細胞を用いた大規模並列レポーターアッセイ(MPRA)により、プロモーターとエンハンサーに存在する、ヒト系統で生じた56万1410カ所の塩基置換を評価し、ヒト特異的な調節活性を持つ1万5077の座位を突き止めた。次に我々は、ヒト–類人猿ハイブリッド細胞を作製し、これを骨軟骨前駆細胞へと分化させた。ハイブリッド細胞を用いた解析とMPRAの測定結果を統合することで、シス調節による遺伝子発現のヒト特異的な変化と、それらを駆動する配列変異について、ゲノム全体を網羅するアトラスを構築した。これらのアトラスから、グリコサミノグリカン(GAG)生合成の顕著な減少を含む、細胞外マトリックス(ECM)の広範な再編が明らかになった。このGAG生合成の減少により、ヒトの関節のGAG含有量は、非ヒト類人猿と比べて約3分の1〜4分の1に減少した。我々は、このヒト特異的な変化が、選択の痕跡を有し、ヒトが変性性骨格疾患に対して例外的に高い感受性を持つことの主要な寄与因子である可能性が高いことを見いだした。総合するとこれらの結果は、ヒト骨格のECMにおける協調的な進化的再構築を明らかにするとともに、ヒト骨格の生物学的特性の遺伝的基盤を解明するための包括的な枠組みを確立する。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度