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がん治療:結合により放出する抗がん剤標的送達戦略

Nature 658, 8136 doi: 10.1038/s41586-026-10971-0

抗体–薬物複合体(ADC)や小分子–薬物複合体(SMDC)などの薬物複合体は、多くの場合、ペイロードの放出を効率的な受容体介在性エンドサイトーシスに依存している。しかし、こうしたエンドサイトーシスを可能にする標的は約10%にとどまる。インターナリゼーションの効率が低い標的では、薬物複合体が速やかに解離して除去されるため、有効性が制限される。本研究で我々は、インターナリゼーションから放出へ至る(ITR)パターンの制約を克服するため、結合により放出する(BTR)戦略を報告する。この戦略は、結合ポケット内の近傍の求核性残基によって直接切断されるように求電子部位を配置することで、薬物放出をエンドサイトーシスから切り離す。その実現に向けて、硫黄(VI)フッ化物交換反応に着想を得たリン(V)–フェノール交換反応(PhoPEx)を開発し、多様なペイロードの放出を可能にした。このプラットフォームは、in vitroから臨床検体に至るまで高い特異性を実証し、患者由来のリンパ節における繊維芽細胞活性化タンパク質(FAP)の発現を精密に検出した。治療への応用では、FAP-BTR-SMDCは、腫瘍内のモノメチルアウリスタチンE曝露量(AUC0–120 h)が、インターナリゼーション依存性FAP-ITR-SMDCに比較して5.9倍となった。この曝露量はFAP-ITR-ADCのレベルと同等である一方、標的外放出は最小限に抑えられた。その結果、各種比率も向上し、腫瘍/血液比はFAP-ITR-SMDCとFAP-ITR-ADCそれぞれに比べて、14.7倍と3.6倍高くなり、腫瘍/肝臓比もそれぞれ55.1倍、58.7倍高くなった。この体内分布により最大耐用量が増し、さまざまな腫瘍モデルでほぼ完全な腫瘍退縮がもたらされた。さらに、BTRの適用を、PD-L1(programmed cell death ligand 1)およびmRNAディスプレイに由来するFAPペプチドにも拡張したところ、幅広い適用の可能性が示唆された。本研究は、インターナリゼーションの障壁を克服し、治療用および診断用複合体の標的範囲を広げる枠組みを確立する。

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