Article
超伝導:UTe2における電気的に制御可能な超伝導記憶効果
Nature 657, 8132 doi: 10.1038/s41586-026-11015-3
多相超伝導体、すなわち2つ以上の異なる超伝導相を持つ材料は、極めてまれである。その例には、重フェルミオン系のCeRh2As2に加え、UPt3やURhGeなどのいくつかのウラン化合物がある。多相のp波超流動体である3Heでは、A相とB相の相境界において複雑な渦のダイナミクスが生じ得る。今回我々は、p波超伝導体の候補材料であるUTe2を調べた。磁場を印加して、2つの異なる超伝導相にまたがる中間領域を実現したところ、直流パルスによってこの材料を、臨界電流密度Jcが増大した準安定状態へと可逆的に転移させられることが見いだされた。この切り替えは、刺激の強度と持続時間によって制御可能であり、この系は、高Jc状態にあるか低Jc状態にあるかを長時間にわたり「記憶」する。我々は、この現象を、摂動下で無秩序な非平衡のガラス状渦状態が凍結することに起因すると解釈する。この状態では、ピン止め力がより強く、そのためJcも高くなる。ゆるやかな電流ランピングにより系をアニールすると、平衡渦格子が再び得られ、系は元の状態に戻る。この記憶機能は、近接した磁性界面または半導体界面を必要とするものではなく、超伝導秩序そのものに根差したUTe2に固有の性質であると考えられる。今回の知見は、多相の量子渦材料が持つ豊かな複雑性を浮き彫りにしている。

