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DNAコンピューティング:熱力学的に有利な分子コンピューター
Nature 657, 8132 doi: 10.1038/s41586-026-10996-5
コンピューターは、生命体と同様に、通常は平衡から外れている。望ましくない誤り状態は、生体高分子(生体ポリマー)の校正、コンピューティングにおける誤り訂正、分子プログラミングにおける冗長性といった、エネルギーコストの高い速度論的制御過程によって阻止される。我々が知る生命体とは異なり、計算は、熱力学的に有利な平衡状態へと緩和する系に組み込めることが理論によって示されている。機械学習や検索アルゴリズムはこの概念を用いているが、非平衡アーキテクチャー上で実行されており、膨大なエネルギーコストがかかる。熱力学的に有利な計算を物理的に実装するには、エネルギーランドスケープを工学的に設計できるプログラム可能な媒体が必要である。今回我々は、熱力学的に有利な足場型DNAコンピューター(SDC:Scaffolded DNA Computer)を、「3をかける乗算」「2で割る除算」「8ビットのパリティ検出」「100ビットの計算に相当する25ビット数の加算」を含む10種類のプログラムで実証した。SDCアルゴリズムは、実験プロトコルが単純で、数十回再利用でき、小さいインスタンスを1分足らずで実行する。数学、物理学、計算機科学の原理によって、SDCが「なぜ熱力学的に有利なのか」「なぜ誤り訂正や精密な速度論的制御が不要なのか」「いかにしてプログラム可能でスケーラビリティーを備えているのか」が説明された。今回の研究は、あらゆる種類の人工系における平衡計算について、新たな考え方を創出するものである。

