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大気化学:NOx排出の増大と南方への移動によって維持された大気中CH4濃度の停滞
Nature 657, 8132 doi: 10.1038/s41586-026-10983-w
大気中のメタン濃度の増加率は、十年スケールで変動する。1990年代には、1980年代に比べて大気中メタン濃度の増加が減速し、その主な原因は人為起源の排出量の安定化または低下にあると考えられた。対照的に、2000年代初頭の経済的成長は人為起源のメタン排出量の増加をもたらした。しかし、予想された大気中メタン濃度の上昇は、全球観測網では検出されず、1999~2006年に大気中メタン濃度の増加はほとんど観測されなかった。このメタン濃度の停滞を説明するための仮説がいくつか提案されているが、その根本的な原因はまだはっきりしていない。今回我々は、モデルシミュレーション、メタン観測、同位体観測を組み合わせて、この停滞が、ヒドロキシルラジカル(OH)が1999年に比べて2000~2006年に1.4 ± 0.4%増加したことに起因することを示す。この増加の大半は熱帯域で起きていた。我々は、熱帯域のOHの増加は主として、窒素酸化物(NOx)排出量の全球的な増加と、発展途上地域および海洋への排出の空間的な再分配によって駆動されたことを見いだした。NOx排出量の増加と再分配は、熱帯諸国の経済成長と、国際貿易の拡大に伴う船舶の排出量の増加によって促進された。こうした変化によって、全球のメタン消失量は、1999年に比べて2000~2006年に2.2 ± 0.7%、2006年に3.7 ± 1.3%増加した。2000~2006年の消失量の増加分は、同時期の人為起源のメタン排出量の増加分の136%[90%, 184%]に相当し、それによって観測されたメタン濃度の停滞が維持された。

