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神経科学:ヒト脳オルガノイドは複数年にわたる時間経過を記録している
Nature 657, 8132 doi: 10.1038/s41586-026-10877-x
ヒトの脳は、生涯のうちの20年近くという非常に長い時間をかけて発達し、成熟する。ヒトの出生後の脳の発達における種特異的な側面を統御している過程を、動物モデルで研究することは難しい。ヒト脳オルガノイドは有望なin vitroモデルとなるが、これまでに示されているのは、主に脳発達の初期段階を模倣することである。今回我々は、生育条件を最適化することで興奮性ニューロンの生存期間をこれまでの限界を超えて延長し、ヒト脳オルガノイドを培養下で5年間にわたり発達させた。我々は、生体内のヒト脳に由来する成熟関連モジュールを用いて、脳オルガノイドは数年間の培養を通じて、転写レベルの年齢が細胞タイプ特異的に進むことを示す。全ゲノムメチル化プロファイリングにより、オルガノイドの予測されたエピゲノム年齢は、in vitroで経過した時間と正確に相関しており、in vivoでのエピゲノムの老化と並行して進むことが明らかになった。重要なことに、異なる年齢の神経前駆細胞を混合して作製したキメラオルガノイドでは、年齢を重ねた前駆細胞が、より早期に生じるニューロン子孫細胞の産生を飛ばして、後期の細胞運命を持つニューロンを速やかに生み出すことが分かった。これは、オルガノイド内で年齢を重ねた前駆細胞は、in vitroで費やした時間の記憶を保持していることを示している。今回のデータは、ヒト脳オルガノイドは長年の培養にわたって成熟を続け、時間の経過を記録できることを示している。

