遺伝学:100万人においてFNIP1バリアントは良好な代謝と関連している
Nature 657, 8132 doi: 10.1038/s41586-026-10864-2
エネルギー代謝の変化は、世界的に死因の第1位である心血管代謝疾患に共通する駆動因子である。エネルギー代謝には個人差があり、その一部は遺伝する。今回我々は、エネルギー代謝の遺伝的基盤を調べるために、米国、ヨーロッパ、アジアの103万2116人を対象としたエキソーム塩基配列解読解析を行い、まれなタンパク質コードバリアントと、トリグリセリドの高密度リポタンパク質コレステロールに対する比(TG:HDL)の間の関連を推定した。TG:HDLは、エネルギー状態のバイオマーカーであり、我々は、これがさまざまな心血管代謝リスク因子および疾患と関連することを示す。我々は、59個の独立した遺伝子を特定した(P < 1.04 × 10−7)。これらには、肝臓や脂肪組織で発現する、エネルギーの収支、貯蔵、代謝のマスター調節因子をコードする遺伝子が豊富に含まれていた。うち23個の遺伝子(39%)は、承認薬あるいは臨床段階の薬剤の標的をコードしていた。エネルギー消費とミトコンドリア代謝を抑制する因子をコードするFNIP1の超まれなタンパク質短縮型バリアント(対立遺伝子頻度0.01%)は、低いTG:HDL比、低減した肝臓脂肪、低い血糖値、良好な脂肪分布、心血管代謝疾患の約60%低いオッズと関連していた。ヒト初代肝細胞におけるFNIP1のノックダウンは、脂質分解とリソソーム遺伝子発現を誘導する一方、肝臓でのFnip1とそのパラログFnip2の同時ノックダウン、あるいはFnip1の相互作用因子Flcnのノックダウンは、高脂肪食を与えたマウスの体重増加を抑制し、肝臓脂肪を減少させ、インスリン感受性を高めた。我々の研究は、FNIP1経路がヒトのエネルギー代謝に関与していることを示し、その阻害が心血管代謝疾患の治療戦略となる可能性を明確にしている。

