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有機化学:ピリドキサール光酵素による不斉ラジカル–ラジカルクロスカップリング

Nature 657, 8130 doi: 10.1038/s41586-026-10930-9

非天然型の光酵素によって、低分子触媒反応では困難、あるいは現時点で不可能な、数多くの不斉結合形成事象が可能になった。こうした反応には、フラビンやニコチンアミドなど、可視光で強い吸収を示し、十分に長寿命の励起状態を持つ補因子を伴う酵素が必要である。しかし、発色性補因子には、光酵素活性が評価されたものが知られていない広大な「暗黒領域」が存在する。この「暗黒領域」における補因子に関する光物理的理解が深まれば、異なる反応性と選択性を持つ酵素クラスにおいて新たな励起状態中間体を利用できるようになり、光酵素が形成できる結合の種類が増えると考えられる。今回我々は、励起状態のキノノイド中間体を強力な一電子還元剤として利用することによって、ピリドキサール5′-リン酸(PLP)が光酵素補因子として機能することを確立する。我々は、非天然型ベンジルアミン基質を用い、外因性光増感剤からのフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)機構を利用してキノノイド励起状態にアクセスすることによって、天然型キノノイド中間体の不十分な光物理的特性を克服した。この酸化還元中性の手法によって、酵素活性部位におけるラジカル対の同時生成と局在化を通して、ベンジルアミンと還元的ラジカル前駆体の間の不斉ラジカル–ラジカルクロスカップリングが可能になり、ラジカルの選別と持続的なラジカル効果の必要性を排除することで、この反応に伴う典型的な難題が克服された。今回の研究で特定されたPLPの新たな光励起中間体は、PLP依存性酵素による有用な結合形成事象を実現するための潜在的経路を大きく拡張するものである。

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