Review
医学研究:MASHの現在の治療状況と将来の治療展望
Nature 657, 8130 doi: 10.1038/s41586-026-10672-8
代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の進行型である代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)は、異質性の高い全身性疾患であり、肝硬変や肝細胞がん(HCC)だけでなく、心血管疾患や慢性腎臓病などの肝外合併症のリスクももたらす。この10年間で、多数の後期臨床試験によってMASHの治療を巡る状況が進展し、甲状腺ホルモン受容体β(THRβ)アゴニストのレスメチロムとグルカゴン様ペプチド1受容体(GLP-1R)アゴニストのセマグルチドが迅速承認されるという重大な転換点を迎えた。これにより、繊維化を伴う非肝硬変性のMASH患者に対する薬理学的な選択肢が確立された。同時に、MASHが、繊維形成が加速していて肝関連の転帰を伴う肝臓主体の表現型から、インスリン抵抗性と心血管リスクの上昇を特徴とする心血管代謝型の表現型まで、一部が重複するものの互いに異なる疾患サブセットから構成されることを示す証拠が増えている。これは、最適な治療効果を得るためには、層別化された手法、場合によっては複数の治療を組み合わせた手法が必要になることを示唆している。MASLD管理の基盤である生活習慣への介入に加えて、代謝機能障害を標的とする薬物療法(PPARアゴニスト、FGF21アナログ、インクレチン系治療、グルカゴン系治療など)、繊維形成、炎症、および/または腸–肝軸を標的とする薬物療法が登場しつつある。本総説で我々は、MASH治療の状況を概説するとともに、疾患の表現型解析とバイオマーカー研究における近年の進歩が、個別化治療への移行をどのように可能にし得るかを論じる。

