Article
化学:カルボニル交換による環状ケトンから飽和ヘテロ環への変換
Nature 653, 8115 doi: 10.1038/s41586-026-10508-5
飽和ヘテロ環は、生物活性分子における特権的骨格である。さまざまなヘテロ環化合物のためのde novo経路が数多く利用できるが、入手が容易な単一の炭素環から多様なヘテロ環を構築できれば、従来とは異なる前駆体から、合成が困難なヘテロ環構造を構築する代替戦略がもたらされる可能性がある。今回我々は、これまでほとんど調べられていないビス(アロイルペルオキシ)ケタール中間体を経由し、カルボニルをヘテロ原子に形式的に置換することで単一の環状ケトンをさまざまな飽和ヘテロ環に変換する、モジュール式手法を報告する。この中間体は、電子的に誘導されるペルオキシ開裂を通して、環状ケトンの2回のC–C結合切断を可能にし、単純な求核剤を用いたモジュール式N/O/S/Se/Te導入のための汎用的「ハンドル」となるアルキルジクロリドを生成する。この方法は、幅広い基質適用範囲と官能基許容性を示し、標的合成の加速と生物活性分子の後期段階多様化の両方を可能にする。また、この方法の有用性は、十分確立された方法によって合成された環状ケトンを、類似の方法の開発が依然として遅れている構築困難なヘテロ環へと変換する、「環構築–カルボニル置換」戦略や「環官能基化–カルボニル置換」戦略によっても拡張された。さらに、C–H酸化とカルボニル置換を組み合わせることによって、形式的な「CH2からヘテロ原子への」変換についても、概念実証が示された。

