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構造生物学:低温感受性の構造学的エネルギー論

Nature 653, 8115 doi: 10.1038/s41586-026-10276-2

熱感受性TRP(transient receptor potential)チャネルは、体性感覚神経繊維が熱環境中で広い生理学的範囲にわたって変化を検知することを可能にしている。哺乳類では、メントール受容体であるTRPM8が約26℃以下の温度で活性化され、低温または化学的冷却材の感知に不可欠である。興味深いもののまだ達成されていない目標の1つは、TRPM8あるいは他の感熱性チャネルが、環境温度の変化により開閉される構造学的機構および熱力学的機構の解明である。クライオ電子顕微鏡法を用いた最近の研究はこの難問に取り組んできたが、温度によって引き起こされるコンホメーションのサブ状態の可視化、あるいはゲーティングの際の遷移を支配するエネルギー地形の評価の困難さにより成果は限られてきた。今回我々は、クライオ電子顕微鏡法を水素–重水素交換質量分析法と組み合わせることによりこうしたギャップを埋め、TRPM8の低温で誘起された活性化機構を解明した。我々はまず、細胞膜中のTRPM8チャネルを可視化し、真正なメントールおよび低温により引き起こされた開状態を捕捉した。また、S6膜貫通ヘリックスとポア領域エレメントが再配置されたのに続いて、チャネルサブユニットの相互嵌合が大幅に再編される新規な「セミ交換型」構造を特定した。次いで、我々は水素–重水素交換質量分析法を用いて、ポアとTRPヘリックスがゲーティングを駆動する最大の刺激誘起型のエネルギー変化を示す領域であることを特定した。具体的には、低温によって誘起される外側ポア領域の安定化によりポアを縁取るS6膜貫通ヘリックスが再配置され、同時に調節性脂質の結合が可能となり開状態のチャネルを安定化する。活性化に関与している構造学的機構は、ヒトTRPM8をメントール感受性だが低温に対する感受性が比較的低い鳥類のオルソログと比較することにより確認された。我々は、低温あるいは冷却材がこの熱感知受容体を活性化する際の自由エネルギー地形とコンホメーション変化経路を提案する。

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