量子物理学:フェルミオン原子を用いた高忠実度衝突量子ゲート
Nature 652, 8110 doi: 10.1038/s41586-026-10356-3
電子構造や強相関量子相の量子シミュレーションは、量子コンピューティングの最も有望な応用の1つである。こうした計算は、本来的なフェルミオン符号化の恩恵を受け、ゲート誤りに依存せず、フェルミオン統計や粒子数および磁化といった保存則を課すことができる。光格子中の極低温原子は、強相関フェルミオン物質の強力なアナログシミュレータとして確立されたものとなっている一方、中性原子プラットフォームは同時に、スピンに基づくデジタル量子計算のための汎用的でスケーラブルなアーキテクチャーとして台頭してきた。これらの機能を統合するには、ボソン系における衝突ゲートと同様の、フェルミオン原子向けに高忠実度の運動コヒーレントなゲートが必要であり、これによって、プログラム可能なフェルミオン量子プロセッサーへの道が開かれる。今回我々は、光超格子中のフェルミオン原子の制御された相互作用によって実現された、最高99.75(6)%の忠実度と10秒を超えるベル状態寿命を持つ衝突型エンタングルゲートを実証する。我々は量子気体顕微鏡法を使用して、スピン交換ゲートと対トンネルゲートを微視的に評価し、量子化学シミュレーションの鍵となる構成要素であるロバストな複合対交換ゲートを実現した。今回の結果は、光格子中の制御された衝突が、中性原子量子コンピューターにおける高いエンタングリングゲート忠実度に向けた、競争力があり補完的な道筋であることを確立する。本質的にフェルミオンを用いて動作するこの機能は、フェルミオン統計が重要となる多キュービットアーキテクチャーへと自然に拡張され、スケーラブルなアナログ・デジタルハイブリッド量子シミュレーターにおける複雑な状態の準備と高度な読み出しを可能にする。これらのゲートは、局所アドレス指定と組み合わせることで、中性原子の制御された運動とエンタングルメントに基づいた、完全デジタルフェルミオン量子コンピューターに向けた重要な一歩となる。

