Article

がん:男児の胚性後脳におけるアンドロゲン活性は致死性の後頭蓋窩A型上衣腫を引き起こす

Nature 652, 8110 doi: 10.1038/s41586-026-10264-6

後頭蓋窩A型(PFA)上衣腫は、既知の体細胞変異がほとんど見られない特殊な小児脳腫瘍であり、エピジェネティックな機構によって引き起こされると考えられている。PFA上衣腫の発生率は、男児の方が女児よりも著しく高く、予後も男児の方が悪い。これらの性差の根底にある機構は、今のところ明らかにされていない。本論文で我々は、PFA上衣腫の細胞階層性は女児に比べて男児患者ではより未分化な状態であることを示す。正常発生中のマウス後脳では、雄のグリア系前駆細胞は、同腹の雌の対照細胞と比較すると分化度が低かった。雄の後脳における染色体の関与と性腺の関与の影響をさらに調べるために、我々はFCG(four-core genotype)マウスモデルを用いた。その結果、雄マウス後脳の分化を遅らせるのは、性染色体よりも、アンドロゲンシグナル伝達であることが明らかになった。アンドロゲンの補充はPFA上衣腫の増殖を促したが、他の脳腫瘍の増殖は促さなかった。逆に、アンドロゲン遮断は、PFA上衣腫が持つ幹細胞様能と増殖の両方を抑制した。我々は、アンドロゲンシグナル伝達は、正常発達中の後脳とPFA上衣腫の両方で増殖を促し、分化を遅らせるのに十分であると結論する。従って、抗アンドロゲン療法は、現在有効な治療法のないこの小児がんを標的とする有望な臨床的治療法となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度