免疫療法:SLAMF6はがんに対するT細胞免疫の薬剤の標的となり得る抑制因子である
Nature 652, 8110 doi: 10.1038/s41586-026-10106-5
PD-1やCTLA-4のような抑制性受容体は、がんにおけるT細胞機能不全に関与している。これらの受容体と、がん細胞上あるいは腫瘍微小環境中のリガンドとのトランスの相互作用を阻害するモノクローナル抗体(mAb)は、一部のタイプのがんで臨床効果をもたらすが、全てのタイプのがんに有効性を示すわけではない。SLAMF6(signalling lymphocytic activation molecule 6、別名Ly108)はホモタイプ受容体であり、マウスモデルでは、前駆細胞/幹細胞様疲弊T(Tpex)細胞に優先的に発現し、終末疲弊T(Tex)細胞では発現していないことが実証されている。Tpex細胞は、Tex細胞とは対照的に、免疫チェックポイント阻害後に機能を回復する能力を保持している。SLAMF6は活性化効果と抑制効果の両方を持つため、T細胞におけるSLAMF6の役割は依然はっきりしておらず、このことがSLAMF6の治療標的としての評価を複雑にしている。今回我々は、SLAMF6がT細胞表面でのホモタイプ相互作用によってシスに作動することを見いだした。これらの相互作用は、腫瘍細胞上のSLAMF6発現とは無関係に、抑制性の効果を引き起こして、T細胞活性化を抑制して抗腫瘍免疫を制限した。このシス相互作用をロバストに阻害する能力を持つヒトSLAMF6に対するmAbは、T細胞の活性化を強力に増幅し、疲弊T細胞の割合を減少させ、in vivoで腫瘍増殖を抑制した。総合的にこれらの知見は、SLAMF6がシスのホモタイプ相互作用によって作動する、純粋なT細胞抑制性受容体として機能することを示している。また、これらの知見は、腫瘍細胞上のSLAMF6の発現の有無にかかわらず、SLAMF6を、抗腫瘍免疫の増強を目的とした治療法の有望な標的として位置付けるものである。

