遺伝学:英国バイオバンクゲノムの47万727例におけるコピー数バリアントのフェノーム規模解析
Nature 652, 8110 doi: 10.1038/s41586-025-10087-x
コピー数バリアント(CNV)は、ヒトの多様性および疾患リスクの主要な駆動因子である。本研究で我々は、英国バイオバンクの全ゲノム塩基配列47万727例に見られるCNVを解析し、2941種の血漿タンパク質存在量の測定値、1万3336種の二値臨床表現型、および1911種の量的形質を対象として、バリアントレベルおよび遺伝子レベルのフェノーム規模関連解析(PheWAS)を実施することにより、ヒトの広範な表現型および疾患におけるCNVの役割を評価した。プロテオーム解析によって、CNVと近傍遺伝子との機能的関連(シスタンパク質量的形質座位;シスpQTL)が確認され、典型的には、欠失はタンパク質レベルの低下、重複はその上昇と関連していることが示された。また、これまで知られていなかったタンパク質間相互作用(トランスpQTL)が明らかになった。今回のPheWASは、既知の関連を再現するとともに、コード領域および非コード領域の両方で新たな関連を明らかにした。特筆すべきことに、我々は、白血球テロメア長の増大と関連するZNF451のまれな欠失と、痛風リスクの低下に関連するSLC2A9エンハンサーの非コード領域の欠失を特定した。さらに、CNVを、タンパク質コード領域の一塩基バリアントおよびインデルと組み合わせることにより、遺伝子と疾患の関連を検出する研究の検出力が向上した。そして我々は、このマルチオミクスデータセットを活用して、シャルコー・マリー・トゥース病1A型のTMPRSS5など、バイオマーカー候補を構成する複数のpQTLを突き止めた。今回の多祖先的な全ゲノム塩基配列のCNVのPheWASは、ヒトの健康転帰におけるCNVの役割についての洞察をもたらし、治療法開発のための貴重な情報資源となり得る。

