Article
超伝導:クーパー対密度変調状態のモアレエンジニアリング
Nature 652, 8109 doi: 10.1038/s41586-026-10325-w
クーパー対密度変調(CPDM)状態は、並進対称性を破ることなく実空間において秩序パラメーターが周期的に変化するという超伝導相である。層状材料におけるモアレ超格子は、調整可能な格子対称性により電荷密度を操作するプラットフォームとして近年登場したものであり、CPDM状態を創成・制御するための新たな道筋を提供している。今回我々は、トポロジカル絶縁体であるSb2Te3の5重層(1QL)を、6単位格子(6UC)の反強磁性FeTe層上にエピタキシャル積層して形成した2層ヘテロ構造において、モアレ誘起CPDM状態を実証する。走査型トンネル顕微鏡法および分光法(STM/S)による測定から、Sb2Te3の六方晶テルル格子とFeTeの正方晶テルル格子との間に形成されたモアレ超格子が、1QLのSb2Te3/6UCのFeTe2層の2つの超伝導ギャップを空間的に変調していることが明らかになった。今回のジョセフソンSTM/S測定により、モアレ超格子の周期性に対応する波長を有するCPDM状態の直接的な実空間撮像が得られた。Sb2Te3をBi2Te3に置換することによって、CPDM状態の周期性と大きさの両方の制御が実現された。今回の成果は、異なる結晶対称性を有する材料からモアレ超格子を合成するためのエピタキシャル戦略を実証するとともに、設計された2層ヘテロ構造におけるCPDM状態を操作する新たな機構を明らかにするものである。

