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水文学:広域観測型人工衛星高度計測による河川の潮汐パルスの観測
Nature 652, 8109 doi: 10.1038/s41586-026-10287-z
沿岸河川に特有の潮汐は、河口や湿地の生息地分布、淡水飲料水の範囲、炭素循環と窒素循環、海洋への堆積物輸送に影響を及ぼす。河川潮汐の重要性にもかかわらず、流路内における潮汐波の伝播が複雑であり、潮位観測所が少なく、さらに従来の直下型高度測定では空間分解能が低過ぎたため、世界の大半の河川でその範囲は分かっていない。今回我々は、最近打ち上げられた人工衛星SWOT(Surface Water and Ocean Topography)によって得られたデータを用いて、3172の沿岸河川の潮汐動態を定量化した。我々は、SWOTの広域観測能力を活用して、16万5000 kmを超える河川区間が潮汐の影響を受けていることを示す。こうした沿岸遷移帯の近くには7億人を超える人々が居住し、それらに依存している。河口における河川のサイズ、勾配、潮差は、潮汐が河川系内部に伝播する範囲に影響を及ぼす。天然障害物とダムなどの人工障害物は、全ての潮汐河川の推定16%において潮汐の伝播を制限している。今回の潮汐データセットは、海水準上昇、大干ばつ、水資源採取の激化、河川調整に応じた河口生息地の変化、沿海都市の淡水飲料水、河川の炭素収支の変動を、年単位から十年単位のスケールで監視・モデル化するための新たな可能性を切り開く。

